数学日誌

高校生向けに大学の数学を解説したり、日々の勉強内容をたまに載せたりします。高校生向けの記事はLaTeXで、それ以外は手書きノートで上げようと思います。

オススメの数学書の紹介

タイトルの通り、本日は今まで読んできた数学書の中でオススメできるものを紹介していこうと思います。

 

1.高木貞治 「解析概論」

これは私が大学生になって初めて読んだ本です。この本は色んな方がオススメしていて、よくご存知な方も多いと思います。

この本の良い点は、高校までとは違う厳密な数学に触れられるという点、そして微分積分をやっていく上で残るモヤモヤを解消してくれる点です。例えば、「微分」と「微分係数」というものは異なる概念なのですがそれをキチンと説明してくれている本はこの本しか私は知りません。(微分はdy=f'(x)dx で定まる量dyで、微分係数はf'(x)の事です)

そして特にこの本は複素関数論の章がとても読みやすく、コーシーの積分定理をグリーンの定理を用いずに三角形でどんどん小さくするやり方で証明しています。この為、f(z)に無駄な仮定が除かれています。しかし、かといってアールフォルスの様にホモローグなど過度な抽象論は展開されていません。その為初めて複素関数論を学ぶ上でとても良い本ではないかと私は考えています。

 

 

2.斎藤毅「線形代数の世界」

次は線形代数の分野から一つ。

この本は線形代数を一度学んだ後に読むのを想定されている気がします。この本の良い点は、計算をあまり用いらず頻繁に可換図式を用いている点と行列を頻繁に用いる点です。可換図式は代数で頻繁にお目にかかるものなので、身近な線形代数を通して可換図式に慣れておくのも良いと思います。

そして二つ目の行列を頻繁に用いるという点は、有限次元の線形代数の話は行列の話に置き換えられるという事を端的に伝えてくれます。

また、一年生で習った行列の性質の復習にもなるという点でも良いと思います。

そしてこの本では双線型形式の一般論やテンソル積の一般論も書かれていたり、内容そのものもとても面白いものが盛り沢山です。

学部一年生の授業で線形代数を一通り習った後に読んでみると更に線形代数の知識が深まると思います。

 

 

3.L.V.アールフォルス「複素解析

私が複素解析の授業のお供に読んでいた本です。正直内容はかなり難しくて、一応複素積分までは読んだとはいえ理解度は怪しいです。ですが、そんな理解度でもすごい本だなと感じた位すごい本です。まず、かなり序盤にリーマン球面の話が出てきます。なので位相と多様体の初歩的な知識がないとこの本は読めません。

ではこの本のどこが良いかと言うと、まずは複素積分論より前に等角写像の一般論を展開している事、そしてリーマン球面上の複素解析としてかなり抽象的に論が進んでいる事です。

一つ目は著者自身が書いていたと思いますが、「先に複素積分をやる前に等角性や一次変換等に十分馴染んでいないといけない」的な事を書いてた気がします。そして二つ目ですが、様々な定理が非常に一般的な形で書かれています。

例えばコーシーの積分定理はホモローグの概念まで持ち出して一般的な形で述べられています。

この本は私が初めて本格的な数学書を読んだという意味でも思い出深いです。

入門書とは違い、かなり難しく上辺だけ読んでも中々理解が追いつきませんがその分著者の思いを強く感じる事ができる良い本でした。

少し専門的な本を見てみたい方にオススメの本です。

 

そろそろ飽きてきたので、続きはまた今度にします。 ここまでお読み頂いてありがとうございました!