代数学に関する本の紹介
今回は、代数学に関する本で今まで読んだ本を色々紹介していこうと思います。
私は代数学は色んな本を広く浅く読んでいる都合で最後まで読み通した本が雪江代数位しかありません(というかいつも素元分解や既約元分解の辺りで挫折するのでそこから先に進めていません。 )
なので主な紹介文は本の前半についてのものだと思って下さい。
そしてオススメ度と紹介文の長さは比例の関係にあります(多分)
まず一つ目は恐らく私が初めて読んだ代数学の本で、最後まで読み通した本です。この本は代数学を始めて学ぶ人向けに書かれているのでとても丁寧な本です。ただ、内容自体は初学者向けよりも少し程度が高いと思われます。ですがしっかりと頭から読み、演習問題も解けば確実に理解はできる様に作られています。
そして何より、殆どの問題に解答が付いているのが非常に良い点です。勉強したての頃は解答を作ってもそれが正しいか自分で判断がつかないと思うので、この本で演習をすると良いと思われます。 群論を学ぼうと思ったらこの本はオススメです。
2.桂利行「代数学シリーズ」
この本は確か雪江代数の次に読んだ気がします。この本の特徴は非常にコンパクトにまとめられていることです。手に取ってみるとわかると思いますが本当に無駄がなく、淡々と話が進んでいきます。とりあえず先の話が知りたい人や、一度代数学を学んで復習として知識の整理をしたい人向けの本かなと思います。初学でこの本を読むのは少しきつい気がします。
通称青雪江。この本はタイトル通り環と体とガロア理論について書かれています。
最初に言っておくと、私にはこの本は合いませんでした。この本は形式的な記号や記号の乱用が多く、代数学に慣れている人は恐らくその方が読みやすいとは思います。
ですが初学者の私には一々記号を訂正したり、どの意味でこの記号が使われているのか考えなくちゃいけなかったりでかなり苦労しました。
ただ、最近の若い人の中で人気の本の一つなので目を通してみると良いと思います。
4.ファン・デル・ヴェルデン「現代代数学」
この本は人によって評価がかなり分かれる本だと思います。知り合いの教授二人に意見を聞くと、ある人は読むべきと言い、ある人は古過ぎるから読まなくて良いと言いました。
まず読むべき派の先生の話によると、この本は当時の最先端の代数学を纏めた本で入門書ではない。だからこそ当時の代数学の雰囲気が分かるし、何より代数学の心が解ると話していました。そして古過ぎる派の先生は、文字通り古過ぎるからもっと最新の本を読みなさいとの事でした。
私としては、代数学はどうしても形式的な分野に思えていて言ってしまえば記号遊びしてる分野というイメージがどうしてもありました。なので代数学がどの様なものか理解する為にこのシリーズの一巻を読みました。
するとやはり代数学がなんなのか少しだけ分かった様な気がします。この本を読むと当時の人がなにを思ってこんな定理や概念を作ったのか、あるいは当時の人はなにを大切に思ってたかがうっすら分かる様な気がします。
まぁでもやはり古い本なので書き方や言葉の使い方が違ったりして読みにくいですね。
因みに最近これの一巻が復刊しました。
5.永田雅宣「可換体論」
これも非常に有名な本です。読んだ時は正直、人に読ませる気あるのかって思いました笑
それくらい行間が多く、初学者の私にはキツかったです。実際対称式とかのところまでしか読めませんでしたしね。ただ、一部の人からは熱狂的な支持を受けているのも事実ですので1度目を通してみるのも良いかもしれません。ただ、本当に行間多くて難しいです。
6.Northcott「イデアル論入門」
これはタイトルの通りイデアルについてのみアレコレ書かれている本です。イデアルについて詳しく知りたい!って方にオススメです。もしこの本が難しいって方がいたら次にあげる本をオススメします。
7.新妻弘 「イデアル論入門」
これは上のNorthcottの本を翻訳した方が初学者向けにイデアルについて解説した本です。
めちゃくちゃ丁寧で恐らく初学者でも特に苦労する事なく読めると思います。が、あまりにも丁寧過ぎるのでそういうのが苦手な人は注意です。
通称アティマク。なぜか物凄く若い人の間で流行ってる。この本の特徴は本文の内容と演習問題の内容のギャップの激しさである。本文の内容は、一回勉強した事がある人なら特に苦労する事なく読める程度に行間も少なく内容も薄いのだが演習問題は全然そんな事ないです。
某教授によると、この本は演習問題を解く為の本で知識をつけたりする為の本ではないそうです。そしてこの本の演習問題を解くことはスポーツでいうことの走り込みに当たるらしく、サボっちゃダメらしいです。
実際に問題を解いてもらうと分かると思いますが、普通に難しい問題が混ざっていたりします。本文に書いてないこととか普通に問題として出てきますし、もう「可換代数 問題集」とかにタイトル変えたらいいのになんて思ったり思わなかったり。
今まで学んだ代数学の知識をフルで使って問題を解きたい!って人にオススメの本です。
先生も言っていた通り、この本で環論を学ぼうと思うのは少し違う気がします。
9.Eisenbud 「Commutative Algebra with a View Toward Algebraic Geometry」
この本は、私が環論がどう代数幾何学に使われているのか分からない。スペクトルや局所化のイメージがつかない。と先生に話したら勧められた本です。この本では色んな環論で学んだ言葉や定理が代数幾何学チックに書かれていたりして、とても読んでいて楽しかったです。
代数幾何学を本格的に学ぶ前に挟む一冊、といった感じでしょうか。
そろそろ疲れたのでおしまいにしようと思います。見てもらって分かるように、私はかなり色んな本に手を出しています。中々自分に合う本が見つからなかったからです。ですが、その甲斐あって大体の有名どころはここに載せていると思います。
少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。